11月19日に「読書と豊かな心」の8回目の授業が行われました。この授業は認定絵本士養成講座の一環として実施されています。
今回は「おはなし会の手法①~おはなし会をひらこう~」をテーマに、おはなし会のプログラム構成や運営について学ぶ内容でした。「おはなし会」は、子どもたちに絵本や物語を通じて楽しさや学びを届けるイベントです。図書館や幼稚園、保育施設などで行われることが多く、絵本の読みきかせや紙芝居、わらべ歌や手あそびを交えるものもあります。千葉県立中央図書館の子安伸枝先生と佐倉南図書館の陶山喜章先生をゲストスピーカーとしてお招きし、実施のポイントや具体的な事例を紹介していただきました。
模擬おはなし会で体験する絵本の魅力
授業は子安先生と陶山先生による「模擬おはなし会」から始まりました。学生たちは「3~4歳の子どもになったつもりで聞いてください」と促され、絵本を読むだけではなく、語りや身振り手振りを交えた多様な手法を体験しました。本を使わずに話すもの、絵本をめくりながら話すもの、動作を加えたインタラクティブなものなど、実際の現場で活用されている技法が紹介されました。
また、「おはなし会」と「読み聞かせ」の違いについても解説がありました。共通点はどちらも絵本を使い音読することですが、「おはなし会」は複数の絵本を組み合わせたプログラム構成がある点や、絵本以外の素材も活用する点が異なっているそうです。
実際のおはなし会から学ぶ
続いて、佐倉南図書館で実施されているおはなし会の事例が紹介されました。陶山先生は、館内で開催するものと保育園などへ出張して行うもの、2種類のおはなし会の実施例を挙げ、それぞれの特徴や注意点について説明しました。準備段階では、読み聞かせる本を事前に下読みし、その内容を自分自身で理解し楽しむことが大切なのだそうです。また、子どもたちの視線を意識した本の持ち方やページのめくり方、聞き手にとって心地よい声量やペースの調整も重要なポイントとして挙げられました。
さらに、おはなし会の実施後には、読んだ本やプログラム構成、聞き手の反応を記録し、次回に活かすための振り返りが必要だと説明がありました。具体的には、会場のレイアウトや所要時間、選書リスト、当日の特記事項、聞き手の反応などの記録を残し、それを基に改善を重ねることで、質を向上させることができるそうです。
学生たちは、実際の振り返り記録や会場写真、配布資料、さらにはおすすめの絵本リストを共有してもらい、図書館や保育の現場で行われているおはなし会について、多くを知ることができました。
絵本の選び方とおはなし会の構成要素
子安先生は、おはなし会を構成する要素として、「絵本の魅力」「プログラム・読み手の情熱と技術」「実施環境」の3つを挙げました。特に絵本の選び方については、対象となる子どもの年齢や人数、場所などを考慮することが大切だそうです。絵本の選定基準として、「絵がストーリーを物語っていること」「起承転結が明確でハッピーエンドであること」「主人公に視点が置かれていること」などを挙げ、自分の中で絵本を選ぶための「ものさし」を持つことの大切さが語られました。
読み聞かせを実践してみる
授業の最後には、学生たちが持参したお気に入りの絵本を使って、ペアで読み聞かせの実践を行いました。お互いに意見を交わしながら読み聞かせを進め、先生方から適宜アドバイスを受けました。
今回の授業では、おはなし会の実施にあたってのポイントやその手法、プログラム構成について理解を深めることができました。実践では、読み聞かせの際の声の抑揚やテンポ、絵本の持ち方について具体的な指導を受けることができ、理解が深まったのではないでしょうか。また、希望する学生は12月26日に佐倉南図書館で行われるおはなし会を見学させていただける運びになりました。今日学んだ視点を活かして現場を見学することで、より理解が深まりそうです。