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「子どもと人間関係」授業リポート ―― 遊びから始まる人間関係

  • 学生生活

子どもたちは2歳前後には「自分」と「相手」の違いに気づき、3歳ごろになると相手の気持ちを少しずつ想像できるようになります。まさに幼児期は社会性がぐんと伸びる大切な時期なのです。子どもたちは友達と遊ぶことを通して「分け合う」「ずるをしない」「人をぶたない」「使ったものを元に戻す」といった社会性を、体験として理解し身につけていきます。

※ロバート・フルガム(著)2003『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』 河出書房新社より

1年次の科目「子どもと人間関係」(担当:藤川准教授)では、こうした発達の理解を土台に、人と協力することの意味について、理論と実践の両面から学びます。10月2日(木)の授業では「新聞紙タワー作り」にグループで挑戦しました。今回は、教員が無作為に決めたメンバーなので、中には初めて話す学生たちもいました。

作戦タイムは3分間、制限時間は30分、そして使える素材は新聞紙のみ。ハサミやのり、テープは使いません。どうすれば高く、倒れにくくなるのか考えをめぐらせます。学生たちは限られた時間の中で試行錯誤しながら形を工夫し、作業を分担し、グループで声をかけ合って改良を重ねました。うまく立たずに崩れたときは原因を仲間と考え、次の案へつなげます。新聞紙という頼りない素材だからこそ、アイディアを出し合って工夫し、協力しなければ高さが出せません。この過程を通じて、相手の意見を尊重する姿勢や、助け合う態度、言葉のかけ方の工夫など人間関係を自然に育んでいくのです。

組み上げる前に念入りに作戦会議
このあとの積み上げ方を話し合う

少しずつ高さを更新できたとき、グループの雰囲気は一気に明るくなり、歓声があがり笑顔があふれだしました。「自分の役割を意識し、仲間の動きを見て支え合い、ひとつの目標へ向かって気持ちを合わせる。その達成感と喜びは、今回、自らの経験として感じられたからこそ、子どもたちにも伝えられる」と藤川准教授は言います。

多様な人と関わり合い、協力し、時には意見をぶつけ合い調整する経験が、その人らしさを形づくります。子どもが人と関わる楽しさを知り、友だちと協力することで一人では感じられなかった達成感を味わうことができる環境を作り出すこと。それも保育者の大切な役割の1つなのです。

倒れないように慎重に・・・
役割分担しながら協力して作業していく