令和5年度の入学式は晴天に恵まれ、多数の新入生が校門をくぐりました。
校門をくぐると、美しい桜の花が咲き誇る校庭が広がり、多くの新入生たちの心を和ませました。
千葉敬愛短期大学 令和5年度入学式 学長式辞
式 辞
桜の花が満開に咲き誇る中で、今年も新たな出会いの季節を迎えました。
本日ここに佐倉市長、西田三十五 様をはじめ、多くの来賓の皆様のご臨席を賜り、令和5年度、千葉敬愛短期大学入学式を挙行できますことは大きな慶びであり、関係者の皆様に深く感謝を申し上げます。
新入学生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
保護者、ご家族の皆様におかれましても、誠におめでとうございます。教職員を代表して心よりお祝いを申し上げます。
新入生の皆さんが学生生活を送ることになる千葉敬愛短期大学は、今年で開学74年目を迎えました。母体となる学園の歴史は更に古く、創立98年目を迎えています。
大学名となっている「敬愛」は学園の建学の精神「敬天愛人」(天を敬し、人を愛する)に由来しますが、この「敬天愛人」は、端的には「謙虚な姿勢と広い心で、自分と同じように人を愛すること」「思いやりの心をもち、人々と共に生きること」を大切にする訓えであり、この訓えは時代を超えて人間としての生き方、あり方を示しています。
このような建学の精神に立つ本学は、1950年(昭和25年)に開学しました。第二次大戦後の学制改革の中で誕生した、わが国で最も古い歴史と伝統をもつ短期大学のひとつが千葉敬愛短期大学で、2020年(令和2年)には創立70周年を迎えています。これまで、約2万3千人に及ぶ卒業生を社会に送り出しましたが、初等教育及び幼児教育界への人材輩出で社会に貢献し、『教育と保育の敬愛』という評価をいただいてきました。
また、昭和・平成・令和の時代に継承された七十有余年にわたる歴史の中で、本学には初等教育科、法経科、国際教養科等の学科が設置されましたが、法経科は系列の敬愛大学「経済学部」に、国際教養科は同じく敬愛大学「国際学部」、そして初等教育科、現在の現代子ども学科に設置されていた初等教育コースは敬愛大学「教育学部」に、それぞれ、その歴史が引き継がれています。
現在、本学は「現代子ども学科」1学科体制のもとで、幼稚園教諭と保育士養成を主な目的とする短大として運営されています。保育に関する基礎的・専門的な知識と技能の習得に努め、保育実習等を通じて、子どもの成長・発達についての深い理解と豊かな愛情を培い、保育者としての誇りや使命感を育むために、本学では伝統的な「クラス担任制」と「ゼミ制」を活用しながら、学生の皆さん一人一人に対してきめ細かく、丁寧な指導が行われています。
新入生の皆さんは、保育者養成を専門とする本学で学ぶことを決意されましたが、短大での学生生活は2年間と比較的短く、保育士資格、教員免許を取得するためには集中的に学び、必要な単位を習得することが求められます。皆さんには履修計画をしっかり立て、実行することで目標を実現していただきたいと思います。
資格、教員免許を着実に取得することを今お願いしましたが、このことと併せて、本学で学生生活を始める皆さんには、これから述べる3つの心構えと取組を大事にしていただくことを期待します。
その最初の1つは、皆さんが短期大学の「学生」になったことを自覚してほしいということです。新入生の皆さんの多くは高等学校卒業後に本学に入学された方々です。そうした皆さんは、高校時代は「生徒」と呼ばれていました。どちらかといえば「受身的に教わる」存在だったのではないかと思いますが、これからは高等教育機関である短期大学、短大の「学生」です。「自ら学ぶ」存在、「学ぶことによって、よりよく生きる」存在へとステップアップし、成長していかなければなりません。短大入学を機に、受身的な姿勢を一旦リセットし、自ら学び、自ら考える主体的、能動的な姿勢に切り替えてみましょう。
心構えと取組の2つ目は、時代の変化に対応しながら、社会を支える保育人材になっていただきたい、ということです。
時代をどうとらえるかについては幾つかの切り口がありますが、今日の時代状況を端的に表現するならば、それは「変化の激しい時代」であり、「情報化が進展する時代」であるということです。
21世紀の幕開けとなったこの二十年間をふり返ってみても、暮らしの中で身近なテレビはアナログ放送からデジタル放送に移行し、今や4K、8Kのスーパーハイビジョンで鮮明なテレビ映像を視聴できるまでになりました。電話についても、固定電話から携帯電話、さらにスマートフォンに比重が移動し、経済活動を支える金融機関においても、ネットを通じた決済や送金取引などがごく普通に行われています。また、JRや私鉄の交通系ICカードも一般に普及し、スマホのアプリで電車に乗ることもできる時代となりました。嘗て駅の窓口や券売機の前に並び、現金を出して電車の切符を買っていた世代からすると、まさに隔世の感があります。
新入生の皆さんは、このような「変化の激しい時代」、「情報化が進展する時代」をこれから生きていくことになりますが、このような『大変な時代状況』を乗り越え、社会を支える保育人材となるためにも、これから始まる大学生活において、ICT(情報通信技術)に関する活用能力、スキル等を身につけ、保育者としての活躍の場、活躍の機会を広げていかれることを期待したいと思います。
大事な心構えと取組の3つ目は、これから始まる大学生活での出会いと交流を大事にしていただきたいということです。
今年度の新入生の中には、社会人として豊かな経験をもつ方々もいます。多様な個性と様々な経験をもつ異年齢の学生が本学に集うことになりますので、このような同期の友人たちや先輩、また私たち教職員との交流や語らい、議論などからお互いに刺激し合い、学び取ることがたくさんあるはずです。これから始まる大学生活での出会い、交流を大事にしてください。
さて、千葉敬愛短期大学の今後についても皆様にお伝えします。
本学の経営母体である千葉敬愛学園は3年後の2026年(令和8)に、創立100周年を迎えます。この大きな節目に向けて、現在、学園本部のある稲毛キャンパスの整備計画が進行中で、来年2024年(令和6年)2月には、地上9階、地下1階の新校舎が竣工となります。このため、新校舎竣工に合わせて、本学は佐倉キャンパスから稲毛キャンパスに移転し、校名も大学と短期大学の名称の統一性を図る観点から「敬愛短期大学」に変更を行うことになりました。在学中のキャンパス移転に加えて、名称も変更となりますが、キャンパス移転により、学生の皆さんには、快適な教育環境、学習空間を提供することができるようになりますので、学園の方針について、改めてご理解をお願いいたします。
3年に及ぶ新型コロナウイルスの感染拡大は、ようやく収束に向かいつつあります。本学としては今後も感染防止についての対策を継続し、学生の皆さんの健康と安全を守ることに努めますので、新入生の皆さんにもご協力をお願いする次第です。
様々な制約を余儀なくされる時代状況の中で、新入生の皆さんの大学生活は始まりましたが、不自由さや困難と向き合うことを通して皆さんが逞しく成長され、それがこれからの人生にとって掛け替えのない財産、自信となることを期待しています。
結びにあたり、新入生の皆さんの大学生活が、有意義で楽しく、そして実りある2年間となることを祈念して、学長式辞といたします。
令和5年4月1日
千葉敬愛短期大学 学長 中山幸夫